モバイバル・コード

 雷也の声で、我に返った。そうだ、ここは…神田の駅前ロータリーか。


「なんでもない、ちょっと考え事してたんだ。タクシーで向かうのか、そっちの方が楽だ」


 すっかり贅沢をする事に慣れてしまった。絶対に、間違ってる気がする

 
 タクシーの中で助手席に居た雷也が、後部座席のオレと愛梨の方に振り返った。


「……二人共、僕は何も隠してないからね?ただ、一つだけ…伝えないといけない」


 真剣な表情に、思わず息を飲む。これから親友が吐くセリフは決して安穏としているものではないだろう。


「『モバイバル』を運営している『特別情報省』は政府の管轄。当たり前の話だよね……? 本当に、『執行』してるみたいなんだ」


「どういうことだ……?」


「あの動画で確信には至ったけど、体内に小型カプセルが仕込まれていない時点で、少しだけ……なんとかなるかもと思ったんだ。

だけど、2位のチームも3位のチームも、他のサイトでの活動履歴を見てたんだけど、一切履歴が残ってなかった。本当にこの世から消されたとしか思えない。」


 つまりは、慶兄の『復讐』なんて止めろと……?


 オレは、復讐の事については尋ねない。雷也には、絶対に聞かない。聞けばお互いに、意識をしてしまうはずだ。


 それではダメ。