モバイバル・コード

──『海王星。海王星は巨大な氷惑星で、表面気温は……』


「な、何言ってんだよ、キスならほっぺにチューって愛梨がしただろ。2回目はないぞ」


 場面は太陽のシーンになり、オーケストラ調な音楽が大音量で流れ始めた。


「もうっ!あ…達の周りに……も居ないし、ムー……満…デートなのに。龍ちゃ……って本当に気が……ないよね!だって今日…日……だから…あた…」


──『太陽。私達人類に、星に、全ての輝きを……』


「えっ!? 何? 聞こえない、というか、お金も払ってるんだからちゃんとみ・な・さ・い!」


 愛梨の顔を両手で挟んで、上に向けてやる。


「何よっ!龍ちゃんのケチ!!」


「キスするのにケチもクソも無いだろ!今そういう気分じゃないって時だってあるだろ!オレだって、悲しい想いしてるんだよ!」


 自然と声が大きくなってしまい、右斜め前に居た老夫婦の目がこちらへ向いたのが分かった。


「……愛梨、どういう事だよ。雷也と付き合うとか嘘ついてさ、その事だってまだ聞いてないんだぞ。付き合ってなんて居ないんだろ?」


「……付き合ってるもん!!期間限定でっ!」


 ますます、意味が分からない。オレが困惑していると後ろから肩を叩かれた。