モバイバル・コード

「うわぁ、凄いねっ!コレ、ドーム状になってるんでしょ?」


「プラネタリウムがまるまる一個入るって凄いな。最後に観に行ったのは……慶兄と4人で…ガキの頃に行った気がする。あの時、愛梨のオヤジさんがチケットくれたんだっけ?」


「龍ちゃん、よく覚えてるねっ!あたしの誕生日にお父さんがプレゼントしてくれて、みんなで行きなさいってチケットくれたんだよ。雷也も覚えてる?」


「忘れるわけ無いじゃん、兄さんも珍しく興奮してたよね。あれって、本当に8歳とかそこらへんだったから……何年前だろう。兄さんも丁度高校に入りたてだった気がするよ」


 昔の思い出が少しずつ甦る。確かに、そうだ。慶兄が凄く興奮していた。医者なんて辞めて、宇宙飛行士になるとか言っていた気がする。今頃は、本当に宇宙に行ってしまったのだろうか。


「いいや…仲に入ろう……」


 二人に、悲しい顔は見せたくない。ちょっと思い出すと涙が出そうになる。暗闇なら、泣いていても分からない。


 チケットを買って中に入る。並んでいる人数は20人程度で、ラストの回の1個手前だった。20分間の上映が始まる。


 中はイスなどはなく、バーが等間隔に円状に連なっていた。バーに寄りかかる形で上を見上げる。


「不思議だよね、ただの天井なのにこれがプラネタリウムになるんだから……」


 まだ薄暗い証明がついたまま、愛梨は360度見回していた。細長い首が終始動いている。