モバイバル・コード

 愛梨がグルグルと1階の吹き抜けを見渡す。この建物は8階まで、中央部分が吹き抜けになっている。それより上がオフィスとなる。


 ショッピングセンターなども混在している為、観光客が多くいる。世界中の人がこの秋葉原に集まっている。館内放送に中国語が多いのは、秋葉原の店ならどれも普通の事だった。


「早く行こうぜ。この時間ならあの高速エレベーターじゃなくて、奥のお客用の直通エレベーターで行けるんだろ?」


 大きな垂れ幕が吹き抜けの中央から吊り下げられていた。『大好評!特別プラネタリウムへはこちらからどうぞ』と記載されている。


「この時間ならみんな観た後だから、空いてると思う」


「僕もそう思う。終わりは17時半って書いてあるし」


 オレ達はエレベーターに乗り込んで最上階へと目指した。間違えても、35階の特別応接室には行きたくない。


 トラウマのビルに入るコト、それ自体…オレも雷也も愛梨も、嫌なはずだった。

 
 それでも二人は文句一つ言わずに着いて来てくれた。ありがたい友達。
 

『ポンッ』

 
 エレベーターが最上階に停まった。チケットが売ってある窓口の奥には、大きな扉が見えた。銀色の、扉だ。