モバイバル・コード

「北千住から秋葉原までなら20分とかからない。正確にはつくばエクスプレスに乗車すれば10分。

ただ運賃が高いんだ。地下鉄千代田線経由で西日暮里から山手線の方が早い……時間は……」


 赤いハイヒールに白いプリーツスカート、上は紺色のレディースジャケットを着こなす愛梨。
 

 黒いジャケットに緑色のチノパンを合わせた雷也。


 対して、いつものジーンズに黒いパーカー一枚のオレ。


 いつも通り、なんら変わりません。


「早く行くぞ。慶兄がカッコいいのは前からだし、電車は山手で良いよ。ってさ、すぐに携帯で検索するなよ。近い距離なのにすぐに調べるよな、雷也は」


 いつものメンツとはいえ、久しぶりに学校外で会う。


 オレが高校に入ってバイトに明け暮れてからは3人で会う事は少なくなった。


 こうして待ち合わせをすると慶兄と4人で行った遊園地を思い出すな。


 確か、ネズミのマスコットがいた遊園地だった。名前はなんだっけか。


「あ、電車出ちゃう! 急がないと」


──『カッカッカッ』


 愛梨が小刻みに階段を駆けあがった。


 ヒールの音がはっきりと聞こえるのは、胸の高鳴りのせいかもしれない。


 オレも慶兄に会うのを楽しみにしてるんだ。