モバイバル・コード

 コップに刺さるストローを加えたまま、愛梨は上目遣いでオレを見た。


「おかわりしてこようかな。女は男みたいにどーでも良い事にうだうだ考えないのっ!葵ちゃんだってそうでしょ、一つの事にはずっと向き合うけど、他の事は案外見ていなかったり」


「じゃあ、愛梨は何を見てるんだよ。ゲームの話しているのに結果だけ求めてどうする」


「龍ちゃんも雷也も面白くない事は分かるんだけど、事実だもん」


「その割には感情的になったりするし、よく分からない。もっとどうすれば勝てるとか愛梨は考えてるのか?」


 白熱してきた議論に対して、雷也が思いもよらない事を言い始めた。


「待って……。今、何か浮かびそうなんだ。あながち二人の考え方は間違ってないからこそ……見えそうなんだ」


 ルールが分からない以上、抽象的に考えるしかない。かといって、分からないから何もせずに遊ぶなんて、出来るわけもない。


「雷也に何が見えそうなのか分からないけど。こうして3人で何かしていないと、とてもじゃないけど正気で居られない。期末テスト前に暗記した事を詰め込まない人間が、どこに居る」


 愛梨がビシっと自分を指差す。


「ここに居るよ。龍ちゃんなんて一夜漬けでテストを受けるから全然頭に入ってないでしょ、その場限りの知識。あたしも雷也も真面目だからテスト前はリラックスして受けるもん」