モバイバル・コード

「あっ!龍ちゃん何買うの!? 丁度良かった、はい、これ」


──『ドサッ』


「なんだよ、こんなにいっぱい。全部服の雑誌か?」


「ヒミツーっ! 葵ちゃんの分も入ってるもん、ねー」


 葵も嬉しそうに愛梨と声を合わせる。小さな声。楽しそうなのは良い事だ。


 オレ達は本を買って再び秋葉原の駅前にやってきた。時刻は15時前。未だに『モバイバル』から連絡は入らない。

 
「龍一、わたし、戻らないと……家から連絡が…きたの」


 葵の言葉に、一瞬息が詰まった。


 もしかしたら、今生の別れになるかもしれない。


「……用事か? オレ達の『旅行』も明日には終わる。また学校に行く日々になる。葵、今度の休み暇か?」


 葵は携帯を取り出して、一気に打った。相変わらずのスピードだ。オレにもこれくらいの技があれば……。


【今度の日曜日の話かな?うん、ヒマだと思う。わたしも時間があったら会いたいな、龍一だけじゃなくてみんなと】


 葵も少しだけ成長した。初めの頃の表情の硬さが取れてきた気がする。