モバイバル・コード

「怖くて、震えてきた。敗北を前にして奮い立つ人間なんて、本当に居るのだろうか。武士の気持ちは全く分からない。負け戦だったら、逃げたい気持ちでいっぱいのはずだ」


「事情が事情だから、やるしかない、よ。精一杯やって、どうにかするしか……僕も怖い」


 男二人が、メソメソしてて、どうする。


「雷也、こっそり愛梨だけ呼んでくれないか。自然な感じで」


「わかった」


 すぐに愛梨が入れ替わりでベッドルームにやってきた。


「どうしたの?」


 オレの横にすっと座り、じっとオレの目を見る。不安の色は、直ぐにバレた。


「……龍ちゃんも雷也も案外肝っ玉が小さいんだね……。竜二さんと対峙した時は興奮してたから…なのかな」


「えっ…?」


「だって、そうじゃん。二人共、その場に立ったら奮い立つのに、どうして一度火が収まると失速しちゃうのかな。あたしにはそれが分からない」


 オレも愛梨の言っている意味が分からない。