モバイバル・コード

 自動音声案内の後、オペレーターの人が出た。


 正直に事情を伝えても、トップに繋いでくれる訳は無い


 一芝居演じる用のメモを用意していて良かった。


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 俺は霧島慶二の南米時代の仕事の知り合いで、たまたま日本に来ている

 テレビで彼を観て、急に連絡が取りたくなった

 携帯を無くして番号が分からないので、知り合いの携帯から電話してる

 『南米帰りの龍一』と伝えたら絶対に分かる
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 オレは話を手短にまとめ、オペレーターへ伝えてみた。


 ……そうだよな。


 やはりまともに相手にされない。
 

 そう来るのはわかってるよ。逆の立場でもそうするもん。


 オレも食い下がり、上を出して欲しいと伝え、なんとかその場の責任者だけは呼んでもらう事が出来た。

 
 さぁ、慶兄の出番だな。


 オレが中学3年の時には慶兄は働いていた。一度オレと雷也で兄貴の電話対応を見た事がある。


 今思えば……あれが霧島慶二流の『商談術』だったんだろうな、強引な方法だったけど。