ただ、オレの頭の中には……大きな『疑問』だけが残った。


 ユウマの今の話が本当だとするのなら……。



 『決定的な事』が覆りそうな気がする。もしかすると、もしかするかも……知れない。



 時刻は朝の5時40分。電光掲示板には山手線始発が53分と表示されていた。

 
 中央改札にはすでに早朝出勤のサラリーマンが何人かいた。オレ達は改札を出て、上野駅前のタクシー乗り場までやってきた。

 
 まだ少し暗いが、朝日は差し込んでいる。すぐにでも眠りたい気持ちはあるが、この前の事がある。


 誰にメッセージが来るか分からない迷惑仕様の為、全員一度に寝ることは出来ないと思う。


 タクシーに乗り、再び神田駅前のホテルへ戻るとしよう。オレは二人に意見を述べた。


「とりあえず、突破出来て良かった。本当に……。お昼の1時くらいまでは眠れるだろう」


 いつもの定位置、雷也が助手席でオレが運転席側の後部座席。左に愛梨。


 この3日間で何回タクシーに乗ったんだ。


「だけど、また寝てる時にメッセージが来たら嫌だね。僕が起きてようか? あんまり疲れてないし、二人は先に寝たらどうかな。電車でかなりのプレッシャーとか感じてたと思う」


「プレッシャーなら雷也だって感じてただろ?でも、それもそうかな。じゃあ寝るとしようかな。愛梨もそっちの方が助かるだろ?」



──『ギュッ』



 オレの左手をそっと握ってくる。


「うん、疲れたから雷也がいいなら、あたしも先に寝ようかな」


 タクシーはそのまま神田のホテル前に到着した。


 勘定を終えて部屋に戻るオレ達の足取りは、決して軽くはない。


 次が『最後』で『最強』の敵が居るのだ。


 浮かれてなんて、いられないだろう。



──決意5割 願望5割



 慶兄、オレは絶対に二人を守るから。