モバイバル・コード

 本も売れなくなっている寂しい時代だ。

 オレがバイトの休みに利用する、神田の古書店が潰れていくのを目の当たりにしている。


「政府公認にして唯一無二の存在。

国営SNS『JaCoPa(ジャコパ)』を運営している事もその一環で御座います。

もちろん企業ばかりが対象ではありません。

個人が開設するホームページやブログ等も“特別情報省”の検閲を行っております。

もっとも、個人レベルであればそこまで厳しく監視はしません。

ですが、必ずサイトのトップページに『JaCoPaのロゴマーク』を入れる事。

これが義務付けられているのは、皆様ご存知でしょう。

無ければ『不当運営』となり罰金や懲役もございます。車の免許と同じ物です。


話をまとめます。

これからの情報化社会の変革ですが、日本電脳遊戯協会主催の「JaCoPa」(ジャコパ)が音頭をとって、国民へ正しいカタチのサービスを提供させ続けて頂く事です。

これ以上もこれ以下も御座いません。


僭越ながら、これにてご説明を終えたいと思います」


 もはやインタビューではない『演説』が終わりスタジオに照明がつく。

 慶兄はオレには見せた事がない、威厳に満ちた表情を浮かべていた。

 キャスターとインタビュアーが誘導をする前に、深々と礼をして奥へ消えた。


 最後にカメラ目線での指差しスマイルだけは忘れずに。

 オレは、終始食い入るように見ていた。

 慶兄が話す一言一言に熱を帯びていたのが分かる。

 今すぐ、凄い演説だったと伝えたい。

 どうしても、今すぐに。