モバイバル・コード

 愛梨が雷也へメッセージを送ったようだ。


【携帯は常に外部となんらかしらの通信を行っている、カメラ機能のような電池を消耗するアプリは、製造メーカーの設定次第で動かない事がある…。

その携帯は10%以下なら起動できない設定になっているんじゃないのかな……。

完全に、僕もその事については忘れていた……。違うアプリを今から入れるしか、方法がない…龍ちゃん、出来る……?】


 とんでもない展開に、驚くことすら出来ない。今、『4時57分』になる。


 愛梨は止まるだろう。オレも通り過ぎるだろう。


 目視で確認、それしかない。まぁ、無理。


 最後の最後で、すまない。雷也。

 
【二人に……バッテリーを持たせなかった僕が悪い。緊張で頭からすっぽりと抜けていたんだ。10%を切ったらカメラ機能など電池を使うアプリは使えなくなる事が多いよね……。

こんなデパートの屋上にあるようなグルグル周るだけの電車ゲームで負けるなんて、屈辱だけど……天国でも……友達でいよう】



 電車は上野駅のホームに速度を増して進入する。



 涙で、初めてライトアップされた愛梨の車両が見えない。


 窓から手を上げて上下させて愛梨に知らせるが、愛梨も見てはいない。証拠のメールが届く。



【あたしがもっと早く気づいていたら、龍ちゃんにも雷也にも伝えられたんだよ……最後の最後にとんでもないことしちゃって、死ぬんだね……。


龍ちゃん、あたしの気持ちは天国で伝えるから、本当の気持ち……】


 
 オレの腕時計の針は、闇に煌きながら58分を示した。