モバイバル・コード

 オレは目一杯の力で叫んだ。それこそ、隣の隣の隣の車両まで聞こえるくらいに。


 だが、反応はない。


 また携帯が振動して、今度は雷也からメッセージが届いた。



【僕はさっきの控え室。二人とも、状況を確認したい。どうなってるの?電車なんだね?】



 オレと愛梨は、同じようなメールを送ったはずだ。すぐに雷也から返信が届く。



【暗い車内、お互いに叫んでも聞こえない?どういう意味だろう。僕も、何をナビゲートすればいいのか分からない。今の時間が『1時15分』

今は状況確認が最優先だね。もう少し周りを観察して欲しい。ただ、山手線なのは間違いないんだよね?】



 愛梨がオレの代わりに、『おそらくそうだ』とメッセージを送った。


 オレも立ち上がり、周りを注意深く観察する。


 ただ、明かりが少なくて見えづらい。


 その原因と違和感にやっと気づいた。


 沿線沿いの駅のホームも全て電気が消えている。それに、線路沿いの近くのお店も意図的に照明を切っている……。


 ビルの明かりが、とても遠くに感じた。


 そうだ、15分も走って一度もホームを通り過ぎた気がしないのはコレが原因か……。