モバイバル・コード

「あの人も下っ端で苦労してるんだろうな。あの竜二の部下だし余計に気とか使うんだろ。なんかオレ、悪いことしたかな」
 

「悪い事……ではないと思うよ。ナツキさんだって仕方ない事だって分かってるよ。ただ、ツメの甘さはこれから指摘されるだろうけど」


 歩道橋の上から見る月は、妖しさを増してオレと雷也を照らす。


 あの日の……慶兄が亡くなった夜のような、綺麗な黄色。クレーターまでハッキリと見えそうだ。

 
 オレと雷也は大した話もせずに、ただ座って缶コーヒーを飲んでいた。 


 右手の腕時計を思い出したように、見つめた。月明かりと歩道橋の手すりに設置された明かりが文字盤を照らす。



──深夜 12時10分



「なぁ……。今から、生死を賭けた戦いするんだよな……?」


「そう……だね……」


 秋の夜長。


 冬を呼ぶ風が、ヒュンヒュンと身体に当たる。


 歩道橋の階段から、オレ達が座っている中央部分に全ての風が流れて一つの渦になる。


 まるで日本地図の縮図みたいだ。


 全国から集まってきて、その夢や希望を喰らったり増やしたりする街。


 東京のど真ん中で何やってるんだろうな、オレ達は……。