モバイバル・コード

 愛梨とナツキはカウンターテーブルの端に座り、早速話をしていた。


「雷也、表行こう。なんとなくだけど。愛梨、ちょっと外で話してくるわ」


 また泣き出したナツキの肩をさすり、愛梨はオレにウインクで返事をした。


「あの歩道橋の上行こうぜ」


 オレ達は中央改札外にある歩道橋に向かう。


 上野駅前の歩道橋は、様々な場所から乗り降りが出来るように枝分かれしている。


 蜘蛛の巣のような歩道橋。いや、バイパスがある分、首都高のような様々な場所から登る事が出来る歩道橋と言った方がいいのか。


 その中央部分の壁にオレと雷也は寄りかかった。


 今夜も、月が、星がキレイだ。寒くなるに連れて、なぜ煌めきを増すのか分からない。


 夏と変わらないはずなのに、秋から冬にかけてのこの季節が一番キレイに、オレの目には映るんだ。


「しっかし、なんだよ、アレ。泣くなんて想定外だっつーの」


「僕だって驚いたよ。まぁ、気持ちは分からないでもないけど……。ナツキって人、今年就職したばかりなんでしょ。色々大変なんだね、大人って」


 大人って言ってられないけどな。ということは22歳とか23歳。


 オレ達の5年後、6年後の姿ってことだ。