モバイバル・コード

 今のは露骨過ぎるし、やっぱり1回多かったと思う。


 だけどオレ達の事を気遣ってくれて、本当に嬉しい。


 慶兄は決めポーズを解いて、インタビュアーと観客に一礼した。


 これで終わりだという意味が込められた挨拶を受け、インタビュアーが続けようしている。


 右下をちらっと見て、軽く引きつり笑いをしている様子を見ると プロデューサーに何かを言われているようだ。


「あ、あはは……ありがとうございます……。

霧島さんはとても面白い方なんですね、えっと、テレビの前の皆さん、国営総合SNS「JaCoPa」の最新ゲームはチェックしてくださいね!

では本日は霧島慶二さんをお迎えしてのインタビューをお届け……」



──瞬間


 慶兄が早口でインタビュアーの話にかぶせてきた。


「ちょっとちょっと、まだ情報化社会の展開についてお話していませんよ。

……少し悪ふざけが過ぎて大目玉になっちゃいますよね、僕から放送責任者の方へ謝っておきますね、あはは」


 慶兄、顔は笑っているが、目は全然笑っていない……。


「あ、良い子はもうテレビを観なくても大丈夫ですよ。おじさんが今からつまらない話をするんで。逆に大人の方は必ずご覧下さい」


 そう話ながら慶兄は立ち上がり、ジャケットを脱ぎ始めた。


 突然の出来事に思わず、オレの腰が浮く。


 おいおい、生放送でその発言とその行動はまずいって……。