「もう、何しにきたの!? っていうか『行きつけ』って二人とも言ってたけど最後に来たのはいつなの?」


「半年前」


「半年前…?」


 愛梨の声色はコロコロ変わるからホント面白いな。


「それじゃあ『行きつけ』って言わないよっ! どうするの? 後は飲み屋さんばかりであたし達が入れそうな所じゃないよね」


 愛梨がもっともな意見を述べた。


「分かった、オレがとっておきのお店連れて行くよ」


 御徒町で一番人気のお店、ここなら大丈夫だ。


 その店『元祖もつ鍋 よっちゃん』は22時を過ぎたこの時間でも、人は多い。

 
 露店がここまで盛り上がる街はなかなか珍しいと思う。

 
 この店は通りにも卓は出ているが、もちろん中がメイン。


 1階はお客の回転率を重視して全席カウンター形式で奥までズラっと賑わっていた。


「へい、らっしゃい!!お客さん何名さん」


「3名、上、空いてる?」


「まっちゃん、上空いてるか?」


 威勢のいいおじさんが大声で呼びかける。店内はとてもひそひそ話をするような場所ではない。