モバイバル・コード

 雷也はもう一発殴られそうだ、そろそろ『置き手紙』の効果が出ないか…。


「おい、お前らコレはどういうことだ!!」


 竜二が泡を食って駆け寄ってきた。



 ナイスだ──愛梨。



「どういう事も何も、竜二さん、今見てるだろ。全部撮ってんだよ」


「ふざけるな、どこだ……どこから撮ってやがる……そもそも、なぜこの場所が分かっている……」


 今だ、今しかない。


「竜二さん、取引してよ。もう逃がして欲しい。確かにおイタが過ぎたのは謝る。だけどオレ達だって真剣なんだ。

モバイバル管理事務局がこうして表に出てくるのはあまり良い事では……ないんでしょ?」


 雷也もすかさず被せた。


「いたい……こんなキツいのは兄さんに子どもの頃に殴られて以来だよ。

竜二さん、もう逃がしてください。僕達は全国にばら撒きますよ、今のこの光景を『動画』と『音声』付きで」


 雷也が仕込みの携帯電話を竜二に見せつけた。


「お前ら、なぜ分かった」


 竜二の目が少しだけ細くなる。雷也は続けた。


「分かったも何も、サイトを通じてメッセージしている時点で、何を送ってるのかそちらにはわかるでしょう? あなた達に知らせない為には口頭でいうか、置き手紙でもするしかない」


「待てよ、どうして先回りして、あの女の子は遠くからこの動画を撮れるんだ?」


 面倒くさいが、ネタばらししてやっても別にいいか。


「盗聴器を仕掛けてバレなければこのまま終わりだった。万が一バレた時の為に、保険を打って置いた。それが愛梨の行動」


 オレはこの前の『お礼』を竜二にしてやらないと。