モバイバル・コード

「龍ちゃん……盗聴器がバレたのかな……」


 いや、違う。 


「竜二だ、あいつ…助手席に乗ってないか?」


 前方に止まるワゴン車のドアが開いた。


 助手席から降りた竜二が、タバコをくわえてやってくる。


「はぁ……バカにしすぎたな。この前は運転中だから周りを見る余裕は無かっただろうけど、流石に『プロ』ってことだろう」


 どう経験を積んだか知らないが、アイツは途中から気づいてたんだ。


「龍ちゃん、どうする……近づいてくる……予定とは少し……」


 オレはタクシーのドアを自分で開けて、雷也に『必要以上に大きく』叫んだ。


「逃げてどうするんだよ、どの道オレ達はボタン一つであの世逝きの死刑囚なんだぞ!! 雷也、いいから盗聴器だけは絶対にバラすなよ!!」


 サングラスの下の片目が怒りに満ち溢れているのが伝わってくる。


 まずい……どうする、途中で切り上げておくべきだった。そう思わせるしかない。


 竜二がタクシーへ近づいてきた。周りを見れば3人ばかり、スーツ姿の男達が立っている。


「雷也、出るぞ」


 竜二はドスの効いた声で話し出した。


「龍一、それにメガネのガキ。お前達、こんな事が許されると思ってないよな? さっきだって多めに見てやって逃がしたんだぞ」


 ここは、覚悟を決めよう。