モバイバル・コード

「ええ、大丈夫。私達はこういう者だから…………下がってもらえるかしら? この子の事は私たちに任せて」


 さっきの女が何かを見せて、警察官を一蹴したな……。


「『特情省』の方ですか……。わかりました、ですがこのままでは道行く人がまた通報する可能性があります。一度別の場所へ移動させた方がいいかと……」



──『ゴスッ』



「ゴホッ、ゲホっ」



 突然、わき腹に男のつま先が刺さった。



「おい、起きろ」



 くそ、息が詰まる。かなり本気で蹴ったな……。



「くっ、なんで分かった……!!」



「よぉ坊主、お前は相変わらず大人を騙そうとしてくだらねぇマネしやがるな」



──『竜二』



「な、なんでアンタがここに……」


「なんでもかんでもあるかよ。俺が運営の人間だって知ってるだろうが。『プロ』なんだから駆けつけるのは当たり前の話だ」


 予想外の人物の登場に、少しペースを飲まれそうになる。落ち着け。


「何が『プロ』だよ。そこの女の人は騙されてたじゃないか」


 竜二がサングラスの上からでも分かるくらい、眉間にシワを寄せて女をにらみつけた。


「す、すいません課長……私の責任です」


「ナツキ、お前何やってんだよ……。『アレ』でくたばる時は、こんなおしとやかに死ぬわけねぇだろ?何見てたんだ、お前」


 ナツキと呼ばれた女はオレをキッと睨んだ後で、唇を噛んだ。


 ……色々と聞いた事を、後でまとめないとな。