オレと同じ疑問をインタビュアーも持っていたらしい。


「ええっと、本日はよろしくお願いします。あの、随分ワイルドな格好……ですね? 普段もそのような格好で仕事をされていらっしゃるんですか?」


 おそらく日本中のお茶の間もそう思っているだろうな。


「ははは、まさかぁ。普段はスーツですよ。いや、ね。

今日は二つのテーマについてお話をさせてもらうって事で、ちょっとラフな格好で出させてもらいました」


「そうおっしゃるのはどういう意図でしょうか?」


「省庁の皆さんからお怒りの言葉を受けるのを覚悟の上で、ね。プロデューサーさんからも怒られるかな? それでもこの格好で話す訳は二つありますよ」


 カメラは慶兄の爽やかな笑顔とピースサインを捉えた。


 2年振りにテレビで見た慶兄は、昔の調子と全く変わっていない。


 なんだか高校生くらいから全く変わっていない気がする。


「今日のテーマは『これからの情報化社会の展開』と『最新携帯ゲームの情報』についてでしょう?

まず先に最新携帯ゲームについて話をさせて下さいよ。ほら、もう20時だから子供は寝る時間になっちゃうでしょ。この格好は若者向けにしてるんですよ」


 インタビューってこういうものだったっけ…?


 質問をして淡々と答えるイメージしかないけど……な。