モバイバル・コード

「どうしよう、車戻らないと……」


 さぁて……どこまで役者をするかな。


 周りの人間がオレをいぶかしげに眺めていたのを薄目で確認した。


 とりあえず行ける所まで……頑張って見るか。


 オレは右手の腕時計が見えるように倒れた。3分が経過しようとしていた。


 遠くからさっきの女の声が近づいてきた。


「……さん、大変なんです。この子が電池が切れたみたいで急に倒れて……」


「……あ……いそうだ……」


 もう一人居るのか……?


 周りの雑音が大きくなってきて、聞こえないな。なんて言っているんだ。


──『ウゥーーンウゥーーン』


 あの音は……パトカーだ。面倒な事になったぞ。


 さすがに演技でした、では済まされないかもしれない……。


 だけど、この後に行う『カモフラージュ』の為に、この演技は絶対に必要だ。


「もしもし、大丈夫ですか!? 市民から通報を受けて来ました!!」


 警官らしき人物がオレの目の前にしゃがみ、身体をゆすってくる。

 
 駅前の交番から…来たわけじゃないのか。