モバイバル・コード

 タクシーに乗り込んですぐ、雷也はオレを褒めあげてきた。


「いや、しかし龍ちゃん凄いよ。敵に先手を打とうなんて考えてるの、僕らくらいじゃない?いくら他の連中が携帯ゲームが上手いからといっても、ここまで考えないよ」


「先手なものか。しこたま警察署長と竜二にやられて、注射まで打たれてるだろ。たまたまオレのチームに雷也が居るからだよ。

機械に詳しいからさ、もしかしたら盗聴器を仕込めるかなって思って話したんだ」



「それもそうだけど『偽の携帯電話』の話だって驚いたよ。アイツらどんな顔するかな」


 わざわざバッテリーをオレ達の為に運んでくれるんだ。


 自慢の役者っぷりを発揮して、楽しんでもらわないと。


 タクシーはぐるりとUターンをして、中央通りの逆方向、神田方面へ向きを変えて止まった。


「雷也、遠目からでも撮れる位置にスタンバイしてくれ。カフェってアレだろ?」


「そう、『CCB96カフェ』だよ。アイドルグループを応援するカフェだね。愛梨がこの前行ったって話してた」


 オレは帽子をかぶり直してカフェの前に立った。


 時間は10時58分、そろそろ来ても良い頃だ。


 分かりやすいように少し前に出て、『白い携帯』を握っておこう。


 しかし、それらしい黒服の奴は来ないな……。


 オレが痺れを切らしかけて携帯電話を見たその時…。



「もしもし、響 龍一様ですか」



「はい……」


 
──女