モバイバル・コード

「狭いな、階段……なんだここ」


「秋葉原の雑居ビルなんてどこもこういうもんだよ。だけど、わくわくしてこない?」


 言われてみると、こう怪しさ満点な場所が男の冒険心をくすぐる気もしないでも、ない。


 看板には3Fと記載されていた。ここか、『ミリタリーショップP&P』って。


 腰くらいまである緑の黒板に、白いチョークで店名が書かれている。

 
 周りを装飾する電球は、小学校の理科の電気の実験で使ったあの小さい電球だ。



──『ピーン……ポーーン』



 来店を報せるチャイムが少し遅れてから鳴りだす。この店の歴史を物語っているようだ。



「老舗なのか?雷也は来たこと無いんだろ?」


「老舗らしいけどね」


 オレも雷也もあたりをキョロキョロしている。

 
 催涙スプレーに防犯アラーム、警棒にエアガン。自宅用監視カメラなんていうのも売っている。


「一度も来た事はないけど昔からある有名なお店らしいよ。あ、これだ」


 ガラスのショーケースの中に盗聴器が入っていた。


「雷也、一番音を拾う奴だぞ。『中』に入れたら聞こえなくなるとかダメだからな?」


「分かってる。よし、コレにしよう。すいませーん」


 ショーケースの中に入っている一番高い盗聴器を注文した。