モバイバル・コード


「って悪い、話がずれた。要するに……眠いってことだ」


 左側の窓に顔を向けて目を閉じる。


 車内の揺れと車載エアコンの暖房が、眠りへと誘う。


 二人が何かを話しているが、意識がだんだんと遠のいていくのが分かった。



──『トントン』


──『トントン』


 う……うん……。



──『トントン』



「違うよ、これじゃこの人は起きないからこうするの」



──『ユッサユッサ』



 なんだ…よ…



──『バチンッ』



「痛っ! ビンタはやめろよ、ビンタは!!」


「タクシーの運転手さん困ってるでしょ! チューして起こされるとでも思ったの!? 早く降りて降りて!」


「降りてって、どこだ!?」


 遠くに高架下沿いの飲み屋が見えた。神田に戻ってきたようだ。