モバイバル・コード

「今、20時を過ぎたところだね。なんだかんだ長居しちゃってるね」


 雷也は高そうなオレンジジュースを飲んでいた。


「本当だよ、明日が何時から試合なのか分かりもしないのに……本当に美味しいね!」


「一口くれよ、食べてないんだぞ」


 愛梨はベルギーの場所すら分からないのに、『ベルギー産のバニラアイス』と説明を受け喜んで食べていた。

 
 もちろん、決まってオレの分もだ。


「じゃあ『あーん』してあげるね。はい、あーん」



 微笑みながら口元に寄せてきたスプーンを右手でそっと跳ね除けた。



「雷也、そろそろどういう事か説明してもらおうか」 


「……何を、だい?」


「とぼけないでくれ、愛梨のことだよ。お前達、付き合ってるんだろ? どう見ても……これじゃオレと愛梨がカップルじゃないか」


「うーん、どうだろうね。そう見えるかもしれないね」

 
 絵画を観る雷也の目はどこか落ち着いていた。


「あのなぁ、オレも……色々と困るんだよ。ちゃんとしてもらわないと…」


「葵ちゃんのこと?」


 愛梨がベルギーの香りをまたもや口元に届けてきた。


「うわ、美味いな、これ!! ……って、葵の事……じゃなくて!!」