モバイバル・コード

 雷也は大通り脇の細い路地へ入っていく。愛梨を連れていると女連れに思われてキャッチも何も来ない。


 いつもはうるさいくらい呼ばれるのに。

 
 路地の半ばに地下への階段があった。


──『東神田777ビル』


 変な名前。怪しげなカジノクラブでもこのビルのありそうな、そんなちょっとだけ刺激的な雰囲気。


「ちょっと、なんか変な雰囲気だよ…? 本当に大丈夫なの……?」

 
「愛梨はお子様だからな、いつものファミレス以外行けないもんな」

 
 オレがからかうといつもとは違い大人しくなって手をギュッと握ってきた。


「地下だから、行こう」


 木製ドアの真ん中に虎の装飾がしてあり、『ステーキハウス アロマ』と書かれたプレートが下げられていた。


 ドアを押すと、大きな円柱型の水槽が俺達を出迎えた。


 右側には何段も重なってるワインセラー


 左側には……座席があった。何の為に使うんだろう。


 真ん中にはテレビで観た目の前にシェフが居て…ステーキを焼くグリル台が円状に設置されている。


 ドーナツの輪の中心に居るシェフは5人も居た。専属のシェフが焼いてくれるのか?


「いらっしゃいませ」

 
 髪を七三に分けた店員がやってきた。まだ20代前半といったところだ。