モバイバル・コード

 途中にはサラ金の看板を持つおっさんや、キャバクラへ誘導するキャッチの姿が見えた。


 この街は新橋や有楽町と言ったサラリーマンの街に分類されるだろう。

 
 画一化されたビルが建ち、昼間は多くの人が働いている。


 夜になれば水商売の街になる。


 そうなると神田は独特な雰囲気を醸(かも)し出す。


 夜の顔は新宿や渋谷とさして変わりは無いように思えるが、決定的に違う事があった。



──『一本細い路地へ入ると途端に人が消える』



 新宿でも渋谷でも、裏路地へ入れば誰か一人は歩いて来る。


 神田は10分待っても誰も歩いて来ない時がある。


 オレは神田には詳しい。たまに金に余裕があったら古本屋に来るからな。


 愛梨と行こうと思っていたのは神田の古本屋。


 普通じゃないデートプランに愛梨は怒ったかもしれないが、お気に入りの場所にいつか連れて行きたいんだ。
 

 もし、都内に『アジト』を作るならオレはこの街を推したい。


 それくらい、この不思議な街が大好きだ。