「あーとりあえず良かったわ。ホント、最後はダイブしたからな」


 愛梨もまだ興奮が醒めやらない様子だ。


「ホントだよ…心臓止まりそうだった。だって、59分まで何も起きなかったんだよ……こんな形で死ぬのは絶対にイヤだよ……」


 雷也がオレににこりと微笑んだ。


「龍ちゃん、ちょっとオレ買って来るものがあるから外すね」


「待てよ、オレもいく」


 雷也は右手とウインクで制止した。


 男なのにウインクが似合う奴って居るんだよな。


「携帯電話のアクセサリーだよ。ちょっと気になる事があったから。

とりあえず…集合は神田でいいかな?秋葉原に向かってそのまま歩いてくる。ほら、高架下の露天とかでパーツ探してきたいから神田が便利なんだよね」



 うきうきしている様子が空気で感じとれた。


 こうなったら止まらないからな、雷也は。


「分かった、じゃあ3時間後に愛梨と向かう。愛梨は付いて行かなくて…いいのか?」


「うん、龍ちゃんにご褒美上げないと……いけないからねっ!」


 もはや露骨過ぎる。


 露骨に雷也はオレと愛梨をくっつけようとしているし、愛梨も積極的になってきている。


「あ、ああ。そうか、じゃあ雷也、後でな」


「うん」


 雷也も人混みの中に消えていった。


 残されたのは友達の彼女と、オレだけだ。