事務局員を含めた4人は、さっきと同じ場所に立っていた。


 帰還した英雄の姿を見ると、愛梨と雷也が駆け寄ってくる。


 多分、オレの人生でトップ3に入るカッコイイ画だろうな。

 
「龍ちゃん、よくやったよ! 正直、2時間50分の時点で諦めてた。

地図アプリで『めぼしい場所』をストリートビューで確認すれば分かるはずだからね! 『ストリートビュー』はいつ使ったの??」

 
 ストリート……ビュー…??


 雷也が白い歯を輝かせて祝福をしてくれる。ちょっと待ってくれ。


「なぁ、なんだそれ? オレは地図アプリは使ったけど、ただ地図を見てただけ。その、ここら辺にビルが多いと思ったから実際に走って見に行ってを繰り返してたんだ」


「えっ!? 新宿を走破(そうは)してたの!?」


「うそ、そんな地味な作業をしてたの?」


 二人共同じようなリアクションをした。


 オレも一緒に驚きたい気分だ。


 くそ、そんな便利な物があったなら走る必要なんて無かったんだな……。


 いや、それじゃ足腰が弱ってしまうか。


 そういう問題じゃない、次の本戦で、負ける事になるかもしれないんだぞ、甘えた考えは捨てないとな。


 少しだけ、隣に立つスキンヘッドと優男が微笑んだ気がした。


「お話中すいませんが、こちらが本日の充電器となります。お受取下さい」


 愛梨が紙袋に入った充電器を受取る。


「では私達はこれにて失礼します。夜にまた管理事務局よりメッセージが入るかと思われますので、そちらご確認の方をよろしくお願いします」


 そういうと二人は、駅前のロータリー先に止めてある黒塗りの車に乗り込んでいった。


 何か、大事な事を忘れている気がするが、まぁいいか。