葵がギュっとオレの腕を掴む。


「ありがとう、葵。なんだかんだドキドキしっぱなしだし、今もドキドキしてるけど……少しは覚えられた。

特にゲームのコツとか、そういう感じのは掴めたよ。今もドキドキしてるけど」


 寝起きで頭がぼーっとして何を言ってるのか分からない。


「う、うん……」


 少し目が潤んでいる。オレだって……寂しい。


【龍一、わたし、あなたを想う気持ち……本気だから。昨日から……積極的に色々しちゃってごめんなさい。だけどこんなに人を好きになったのは初めてなんだな。

ずっと、ずっと一緒に居たい。次会う時は、またホテルで……続きしてもいいかな?】


 葵の顔が少しだけ歪み、今にも涙が零(こぼ)れ落ちそうだ。


 オレは右手の人差し指で優しく涙をすくってあげる。


「だから、順番通りやろう。いつも5段飛ばしくらいで進むね、葵は。

またあの雷也の家の近くの公園で、会おうな。お弁当とか作ってくれると、オレはすっごく喜ぶぞ」



 天使の微笑が、オレに炸裂した。



【うん、わたしも携帯ばかりしないでお手伝いさんに料理とか教わるね。モバイバル経由でメッセージしてもいい?】



「ああ、繋がらないかも分からないけど、大丈夫だよ。オレもまたメッセージ送る」