──『トントン』


──『トントン』


──『トントン』



「ううん…」



──『チュッ』



「うっ…うう…りゅう、いち」



──『チュッ』


「りゅういち」


──『チュッ』



──『ビーッビーッビーッ』



「おおおっ!!」



 跳ね起きた、そうだホテルだ。今の音は……葵がオレの耳元で無邪気に笑いながらサイレンを鳴らしていた。

 
 もう服を着ている、いつ起きたんだ?


【お寝坊さんだから10回もキスしちゃったな。口はまだだけど……】



「いい、今何時っ!!」


 葵の携帯の右上の時刻は8時45分を示していた。


「やばっ!!葵、行くぞ。葵も今日テストだろ?!」


「うん……」


 オレは速攻で着替えて葵を連れてホテルを出る。ここで葵と別れなければ。