モバイバル・コード

「どうすればいいんだ…この光ってるパネルを押せば……いいのか?」


 オレは最上段の一番高い部屋を選択した。おそらくスウィートルームというやつだ。



「いらっしゃーい」


「おわっ!!」


 
 なんだ、カウンターの小さな窓があったのか…おばちゃんと思わしき人が声をかけてきた。


 葵はオレが驚く様子を見て小さく笑った。


「はい宿泊は11時までね、ごゆっくり」

 
 オレ達は『503』と書かれたカギを受け取りエレベーターに乗った。


「葵……緊張しないか」


「う、ううん……」


 二人とも固まったままで手を繋いでいる。部屋に着き、少しだけほっとした。


 流石に中はスウィートらしく広く、大きな花瓶が部屋の隅に置いてあった。
 

 テレビも大画面、それに立派な絵画まである。一泊いくらか料金を見なかったが、それなりに高いんだろうな。



【わたし、初めてで緊張してきちゃったな……龍一は初めてなの?】



「どどどういうい……あ、ああ、部屋に女の子と二人で泊まるのは初めてだよ。葵もそうだよな」


 危ない。どうとでも捉えられる文章を打たないで欲しい。文字は特に勘違いを生みやすいからな。

 
 葵はソファにちょこんと座って一息ついた。


 オレも隣に座ったがすぐに立ち上がり、有料冷蔵庫からコーラとオレンジジュースを取り出す。