モバイバル・コード

「大体、引きこもりってもっとこう、なんていうか……暗い感じだろ? 葵は違うじゃん。ちょっと話ベタなだけだろ?」



【龍一の前だから明るくなれるんだな。学校じゃ陰気なブスっていじめられるの。】



「そ、そうか…まぁ葵は可愛いよ。ブスなんて言って来る奴が居たら、今度オレがとっちめてやるからな」


 視線が刺さって痛い。

 
 後ろから絶対に見てる。愛梨が、オレのことを。


 葵は画面を見ずにオレに微笑みかけた。


 微笑みながらでも文字が打てるなんて、もう携帯と一体化してるな。



【ありがとう。ねぇ、お嫁さん候補の話はどうなったのかな。さっきわたし達、本屋でちかいのキ】



「うおぉおっ! みんな、アレを見ろ! なんだアレ!!」


 オレが明後日の方向を見て指を刺す。


 全員の視線がそちらに釘付けになったのを見て、オレは葵の携帯画面に浮かび上がっている『×』のマークを連打した。



「何も無いじゃん、何があったの?」


 愛梨が不満そうに口を尖がらせる。


「UFOが飛んで行ったんだよっ!!な、雷也も見ただろ?」


「ははは、確かに急に現れて飛んで来たね。龍ちゃんの頭の中に今頃UFOのキャプチャービームでも飛んできてるんじゃない?

多分、これから『記憶』を操作されるんじゃないかな?いや、もうされてるか」



 雷也は少しだけ意地悪な顔をしてオレを見る。


 オレの表情だけで分かるなんて、察しが早い。流石は秀才。