モバイバル・コード

「ほら、会計だ。金持ちなんだよ、オレ達兄妹は。ガタガタ言わずにさっさとカゴ入れてもらえるか?」


 ネームプレートに『店長 染谷』と書かれている男は目を白黒させて、レジを打った。


 流石に100万の新札を見たせいでオドオドしている。


 あおいがオレの事を見上げているのか、天使の視線に気づくが目を合わせない。


 おっと、そういえば『コレ』も買って行かないとな。

 
 オレは適当に袋を掴んでカゴに入れた。



「あ、ああ、ありがとうございました」



「店長さん、深夜もお仕事ご苦労さん。はいこれ、迷惑料」


 万札を何枚か掴んでレジの上に置いてやる。


 1回こういうの、やってみたかったんだよな。



 自動ドアをあおいと手を繋いで出ると、愛梨が呆れた顔をして立っていた。


 雷也は苦笑いをしている様子だ。


「もう、龍ちゃん何してるの!? アイスを奢っただけじゃなくてお金まで置いてきて! その子ども助けてさ!! いつまで手を繋いでるの!」


 愛梨はオレの左腕にしがみついて、手を引っぺがした。


 人助けをしたのに凄い剣幕で怒られた。なぜだ。


「何してるも何も、人助けだろ。まぁこの子にも事情はあるみたいだけど。もちろん、オレもそれは聞かせてもらいたい。いいだろ?」


 少女の矢のような視線が飛んできていることに気づいたが、気恥ずかしくて目は合わせられない。