「どうするもこうするも、負けるわけにいかないだろ? 向こうだって神様じゃないんだ、オレ達が力を合わせたらなんとかなるんじゃないのか? 最後は気合だ、気合!」


 なんとなくオレも立ち上がり、説得力のない精神論で消沈(しょうちん)する二人に檄(げき)を飛ばす。


「気合いでなんとかなるなら龍ちゃんに全部任せるよ……いや、本当にどうしようか」


 雷也も立ち上がり部屋の窓を開けた。


 身体の熱を冷ますように秋風が入り込む。


 コントのように3人とも部屋で座らずに立ちつくしている。


 オレ達はお互いに顔を見合わせた。


 なんだか少しにやけてしまいそうだ。


「ははは、面白いな。なんだか生死をかけたゲームなんて気がしないのはオレだけか?」


「もう、笑い事じゃないよ!負けたら死ぬんだよ!!」

 
 愛梨はむっとした顔をしてオレを見る。
 

「いや、案外龍ちゃんが正しいのかもしれないね……」


 雷也は溜め息を飲んだ。


 少しだけ顔の険しさが取れたようだ。