モバイバル・コード

 雷也が急いで携帯を操作する。


 顔の蒼白さが、オレ達に事の重大さを語る。


「あった!本戦出場者のページじゃない、一番初めの『モバイバル』の規約の所に書いてある」

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◇規約3条4項◇

『本戦出場者』となった場合は『危険』も有りえることに了承しなければならない。
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「汚ないぞ!!こんな表記、分かりづらいに決まってるっ!!」


 雷也が竜二をきつく睨みつける。


「確かに汚い。書き方が『なった場合』と書いてある。つまり、オレ達のような強制参加を認める為だろ?」


 補足説明、たまにはオレに任せろ、雷也。


「……何が汚いんだ? ちゃんと書いてある。大人の世界じゃ規約を読まない奴が悪い事になるんだ。まぁ読まないのはお前らだけじゃないけどな。

今の若い奴はバカばっかりだ。

目の前に『お試し』とか『無料体験』とか、甘言(かんげん)が書かれている『スイッチ』があればどいつもこいつもポンポンポンポン押す。

何も考えないから適当な言葉を書いて、適当な写真を載せてつぶやいたりしてしまう。その癖、後から文句を言う。だったら初めから石橋を叩いて世間は渡るもんだと勉強しておくことだな」


 竜二はタバコの灰を携帯灰皿へ入れた。


 開かない左目の代わりに右目が光って見えた。眼光の鋭さを一つの目玉で体現しているようだ。


「もっとハッキリ言ってやろうか?この国の社会全体で、いや世界中でな、バカばっかり量産させてるから『モバイバル』が一役買って、たまにはバカを粛清してやろうって話よ」


 携帯を使わないオレには関係ない話だ。


 だが、雷也と愛梨が少しだけバツが悪そうな顔をしている。


「な、面白いだろ? バカをこの世から消す為のサイト、それが『モバイバル』」


 竜二は外していたサングラスを取り出し、かけなおした。


「ランキング上位の者だけを『本戦出場者』としたのは、日本でトップクラスのバカを消す為の仕様さ。

金とゲームに釣られてほいほい出てくるウジ虫なガキ共のな、『上澄(うわず)み』を粛清(しゅくせい)する為の、仕掛けだ」


 確かに、携帯は便利だが多大なる問題を起こしている。