モバイバル・コード

 片目野郎はいつの間にか雷也の腕を振りほどいていた。


 答えは決している。


「お前より一文字だけ勝ってる『竜二(りゅうじ)』だ。苗字は言わない」


 竜二は、微笑んだ。 


 オレも笑みがこぼれた。


「卑怯だぞ」


「まぁ『プロ』だからな」


 竜二が近づいてくる。


 オレは両手を頭に乗せて、奴に背中を向けた。


「ぐっ、龍ちゃん、嫌だよ、こんな、別れ方、あたし…あた…し……」


 愛梨もいよいよ察したのだろう、どうしようも無い事に。

 
 透き通る涙が、愛梨の綺麗な顔を更に煌(きら)めかせる。


 その涙を嬉し涙にしてオレだけに見せて欲しかったな。


「愛梨、雷也、オレは2回もかっこいい事は言わない。さっき言ったから。あんた、竜二さん。一発で急所を仕留めて、あまり愛梨に血を見せないようにしてくれ」


 竜二はコクりとうなずきスーツを脱いだ。刺した後で被せるつもりだろう。


 オレはさっきの雷也と同じようにうつ伏せで寝かせられた。