モバイバル・コード

「トラックがぶつかったかと思った。俺が胸を抑えてうずくまっていると、奴が渾身の力で首の後ろに手刀を振り下ろそうとした」


「そこでお仲間が登場ってことですか」


「そうだ。部屋には三人で入っていた。霧島会長は気づいていたか、気づいていないのか分からなかったが…いや、気づいてたな。いくら蹴り飛ばしても1分もすれば起き上がる」


 戦いの『鉄則』か。


「『各個撃破』を狙ったんだろうな。まず1匹仕留める、という形にしたかったんだろう。

ただな、結果的に元会長は負けたがここまでわずか20秒も経っていない事だけは伝えておきたい。普通のチンピラ程度なら通用しただろうな」



 突然部屋の電気が消され、迫り来る刺客に光を当てて……。


 蹴り飛ばして、更にトドメを刺そうなんて……


 慶兄って別の仕事で殺し屋でもやってたのか?いくら空手経験者といえども、おかしい……。


「後は想像つくだろう。仲間の一人がうずくまる俺の頭上から、霧島慶二を蹴り飛ばした。

吹っ飛んだ会長はもう一人の奴にも蹴り飛ばされた。最後に、俺が腹に一発ナイフを……」


──『コンッ』


片目野郎は、アスファルトの路面にナイフを軽く立てた。


「兄貴……」


気づくといつからか雷也が泣いていた。


「慶二兄さん……龍、ちゃん」


さっきから泣いていた愛梨の涙声が大きくなる。


「オレは響 龍一。あなたの名前は。オレは死ぬんだ、最後に教えてくれないか」