モバイバル・コード

「龍ちゃん、どうして知ってるの!?」


 オレのパーカーの裾を引っ張る愛梨を見つめた。


 驚いた顔をしているのを見て、ゆっくりと微笑み返す。

 
 愛梨、最後のお前に向けた笑顔になるだろう。


「昨日寝る前に少しだけ携帯を触ってたんだ。ホームの画面を触ってたらなんかスライドしてライトのマークが出てきたから押した。

そうしたら明かりがついた。下から触ると出るんだな、あの画面」


 せっかく覚えたオレの知識も今日で無駄になるのか……。


「いやぁ恐れいる。ご名答だ。俺もな、まさかの一言しか出なかった。

気付いたら胸に会長のサインを頂く事になったんだよ。吹っ飛んださ、3mくらい。

カンフーアクションスターのキックだったな、あれは。体重が乗ってたいい蹴りだった」


 驚いているのか、余裕があるのか分からない表情で話している。


 多分、この人は本当に驚いているし、今も思い出すと怖いはずだ。


 それこそ『プロ』だからこそ顔色には決して出さないんだろう。あんたも十分凄いよ。