モバイバル・コード

 雷也より、オレの方が抱えている物は少ない。とうに愛梨の幸せは雷也に任せてある。


「あー熱いねぇ。ははは、お前らおもしれぇな。そういう友情物語、嫌いじゃないぜ。

だけどこのメガネは殺す。お前にはコイツを見殺しにしたという後悔の念を持って、『モバイバル本戦』に参加してもらう」


 さっきと雰囲気がまるで違う、お遊びを無くした眼でオレを睨みつけた。


 勢いで行動したオレ達より、この男は一歩も二歩も上にいる。


 オレはもう根本から牙を折られた獅子だ。いや、猫か。


「どうしても、か」


「どうしても、だ」


 凍てつく沈黙がこの場を支配する。


 どうすればいい。


 どうすれば、オレが代わりになれる。

 
 考えろ、慶兄はもう居ない。


 『片目野郎』の意に沿うように、交渉しなければ……


 分かった。


 役者相手の答えはこれだ。