モバイバル・コード

「止めろ、お前らそんな事して国がタダで済ませるわけな……」


『ドカッ』


 後部座席から、運転席のヘッド部分にケリを入れてやる。


「うるさいっ! そんな事、僕達には関係ない」


「誰も国を裁けないならオレ達が国を裁く!!」


 なぁんてな。こんな『カッコいいセリフ』


 男なら一度は言って見たいよな。


 現実はハッピーエンドで終わらないけど。


「バカか、捕まって終わりだ……お前達全員捕まって終わりだ!!」


「捕まるのはオレだけで十分。愛梨と雷也は一切関係ない。証拠も無い。オレが一人で殺す」


 雷也からジッポをいつでもつけられるように開いたまま受け取った。


「動くな」


 グラサン野郎をその場に止める影縫いの術はこれだ。


『シュボッ』


──『ガチャ』


雷也は車のロックを外してスライドドアを開けた。


「愛梨、行くよ」


「いや、龍ちゃん、いやだよ、来てよ……!!」


 愛梨がオレの左腕を両手で掴む。


「ダメだ、先に降りろ。俺はコイツを燃やす。国に一矢報いる事が、出来る。派手好きな天国の慶兄にも見えるように、人間線香をあげてやる」


 雷也の驚きの声が聞こえてきた。