モバイバル・コード

「うるせぇ。お前に指図される筋合いは無いんだよ」


 男はフィルター近くまで吸ったタバコを吸いがらに捨て、もう一本取り出して火をつけた。


「ふぅ……冷静に考えろ。お前ら、霧島慶二の知り合いだからって優遇されて参加資格を持ってるんだぞ。

お前らが要る、要らないじゃない。そういう風に個人の知り合いを『優遇』されるように仕向けた人間を罰するのは当然のことだ」


 グラサン野郎は繰り返す。


「もっと言うと、政府としてはそんな公平性に欠けるような真似を断じて、許すわけにはいかない。

それにさっきも言ったが、『モバイバル』は初の懸賞金付きの国営サイトなんだよ。表面的な華やかさだけじゃなくて、もちろん裏の黒い部分もたくさんある。

霧島元会長がしたことをお前らは軽く思うかもしれないが、それはお前達の世界の『尺度』だ。俺のような管理局の人間に言わせたら『万死』に値する。政府も、上も同じ意見だ。

現に、万死に値する問題だと政府が認めたから、『執行』の許可をもらったんだ。

坊やが気づいてるように、『警察の全面協力』付きでな」



 グラサン野郎はルームミラー越しにこちらの様子をしきりに覗いていた。


 目線は見えなくとも、視線で気づくさ。さっきからオレの顔を見てる。
 

 オレは愛梨と雷也に一瞬だけ目配せした。