モバイバル・コード

 深く考える。慶兄の言葉の意味を。


 雷也は、必死に感情を堪えていた。


 だが、その眼は冷静そのものだ。


 さっきからオレに視線をじろりと配る所を見ると、やる気満々だろう。


「つまりだ、あの言葉の意味を軽く捉えるなってことだ。警察が動くくらい、重い言葉だって事よ。

『モバイバル』は表面上はただのゲームが出来るサイトだ。ただ、国の意思が存分に練りこまれてる」


 聞いていれば反吐が出そうだ。


 車の窓から覗く景色が闇に飲まれゆく。


 グラサン野郎は続けた。


「そんな簡単にな、職員が不正をするなんて有り得ないことだし許されないことなんだよ。『モバイバル』の、たかだか名前のみの『会長』さんにな。好きな事をされても困るんだよ。

色々と活動的で、めざわりだと政府の高官からも連絡が来ていたし、ちょうど良い機会だから『消した』のさ」


「この野郎っ!!」


 クラスで……いや、学校で一番冷静な男が、大声をあげて怒気をあらわにする。


「雷也、ちょっと落ち着いてよ!! 今は……今はそういう時じゃないよ!!」


 愛梨の細腕が、雷也の身体を押さえつけた。


「『消した』って事はコイツが、この男が兄貴のカタキだろ!? 絶対に許さない!! 僕が殺してやる!!」


 グラサン野郎はこちらを見てにんまりと笑った。年齢は40歳くらいだろうか。


 顔のしわが目立っては来ているが、精悍な顔つきだ。