モバイバル・コード

 男は窓を開け、ジッポライターでタバコに火をつけた。


「まぁ、そうだな。書いてあっただろ。金の『横領』と『参加者の優遇措置』だよ。つまり、お前らを勝手に『モバイバル本戦』へ出場させたバツだ。2個も同時に不正を犯したら、そりゃ『執行』されるわな」


 隣に居る愛梨が、息を飲んだのが分かった。


「人命を奪うなんて間違ってる!! あたし達を優遇した事がそこまでの罪なの!? 罪だとしても、殺すなんて有り得ない!!

そんなの警察が黙ってな……い……」


 愛梨は、思い出したようだ。


「まーそうだな。警察は黙ってないよ。だから『協力』してくれるじゃないか。『モバイバル』の運営に」


 グラサン野郎は吸った煙を窓から外に吐き、缶コーヒーに口付ける。


「……それにはとっくに気づいてるよ」


 オレは吐き捨てるように言った。


「良く言うよ、お前らあの署長のこと信じてたじゃねーか。そこの希望のガキは最後の最後に正体に気づいたみたいだけどな」


「くっ……!!」


 雷也がオレに聞こえるくらい、感情を押し殺した。


「だから、なぜ死刑になるくらいの罪なんだと聞いている。『執行』とかそんな単語はどうでもいい。なんで死ぬほどの罪になるんだ。懲役刑とかそんなものじゃないのか」


「そうなるわな。だけどよ、お前らは一つ『兄貴』の言葉を勘違いしてるな。

会長が言ってたこと、覚えてるよな?『これからは政府がインターネットなどの情報を管理・運営する』って言葉だ」