モバイバル・コード

 政府の『特別情報省』ご自慢の地上60階建ての新名所。


 たしか、屋上は一般開放もされていたはずだ。


 このビルの関係者、『慶兄』を思い出す。


 元気にしてるかな。オレはバイト頑張ってるよ、慶兄。


 そうだ、帰ってから明日の学校の宿題をしないとな。
 

 高校生の自分が働くのは学校には認めてもらっているが、アルバイトに精を出して学業をおろそかにするなという母親からの忠告を受けている。


 くそ、めんどくさいな……。


 帽子をとって顔の上にかぶせる。加藤さん、すいません。ちょっとだけ寝ます。



「うう…うん…」


「……い」


「おーい」


「……おい、おい龍一君。ほら!」


「あああっ! すいませんすいません、ごめんなさい! えっ?」


「はいこれ、プレゼント」