モバイバル・コード

 パチリと目が覚めた。


 昔の夢を見ていた、とても懐かしい夢。


 身体を……ゆっくりと起こす。


 いや、起こすじゃない、寄りかかっているのか……?


 ここ……どこだ。


「痛っ……」


 そうだ、肩を痛めていたんだ。


「よぉ、目が覚めたか」


 脳が急激に働き出したのが分かる。


 突然、地震が来たのと同じ感覚。


 すぐに周りを見渡し、状況を確認する。


 ワゴン車の……後部座席か……?


 2列目だ、そうだ後ろにもう1列ある。


 もう一度、前から声が聞こえてきた。


 渋い声。時代劇の役者のような、そんなバリトンボイス。


「そのメガネの男の家に、お前達を送り届ける」


 男はこちらを見ずに話している。ルームミラーからサングラスをしている事に気づいた。