衝動的に身体が動き、オレは携帯を奪い取った。


「おい!! このガキ!!!」


 刑事から携帯を取り上げ、広いロビーの片隅に走った。


 そもそも、この刑事が本当に通話してるのか、電話番号を打っている所をオレは見ていない。


 奥から携帯で話ながら出てきただけだ。


「もしもし!!」


「はい」


 相手はいる、本当に『特別情報省』の職員か?


「こちら特別情報省の問い合わせのお電話で宜しかったですよね?」


「ええ」


 予想外の答えに、次のセリフが吹き飛んだ。


「あ、あの、えっと、霧島慶二さんって本当に出張に行ったんですか? いつ?」


「すいません、出張には行きましたがそれ以上はこちらも守秘義務がございますのでお答えできませ……」


──『ゴギッ』


「ぐぁああ!!」


 肩に雷が落ちたような衝撃。


 オレは携帯を持っていた右腕を後ろに捻じ曲げられ、ロビーに倒された。


 痛みとひんやりとしたフロアの感覚に呼吸が、止まる。