「……ちっ。分かったよ。電話だけしてやる。ちょっと待ってな」


 刑事は奥の事務所兼窓口に消えた。


 オレ達は木製のデスクを離れ、ロビーの椅子に座り、待った。

 
 休日の朝8時。警察署に来る人間なんてほとんどいないだろうな。


 原色の色はポスターくらいなもので、派手な物は何もない。


 変な行動をするとすぐに警察が来るという状況に、悪い事をしていないのに緊張する。


 あの刑事の対応はおかしいだろう。人を虚言者みたいに扱って……。


──『ガチャ』


「あーもしもし。はい、警察の者です。あのですね、ちょっとお伺いしたいのですが……」


 叩き上げ刑事が携帯電話片手にやってきた。


「ええ、そうです。霧島慶二会長はいらっしゃいますか? ちょっとお聞きしたい事がございまして」


 いるわけがない。


 それどころか、本社は大騒ぎになるだろう。


 明日の朝刊の一面は決定したな。


「……出張? え、出張ですか? はい、分かりました。ええ、改めてお話させてもらい……」



──ふざけるな