モバイバル・コード

 愛梨の声がまだ現実を信じたくない気持ちを表している。


 オレだって、平静さを装うのを必死だった。


 雷也も同じだろう、オレ達がパニックになれば愛梨は本当に気が狂うかもしれない。


「決まってるだろ、国さ。ジャコパこと『日本電脳遊戯協会』だって政府の管轄だ。

頭の組織は内閣府とかそこら辺だろ。大体、特別情報省から分割した部門だって慶兄も言っていた。実際は政府の組織でも、そこまで大きい組織じゃないってことじゃないか?」


「そうだと仮定した場合が一番つじつまが合うよ。僕は……わざわざ首を掻き切る理由を考えた。明らかに誰かに見せる目的だ。殺すなら別に……そんな事をしなくてもいいでしょ……?」


 悲しみの色が、深くなってゆく。


「違反をする者は誰であろうと罰する、そういう強い意志が見えるよ……兄さん……」

 
 雷也はそういって、泣いた。


 オレも、涙がボロボロと零れ落ちた。


 人前で泣くなんて何年ぶりだろう……。


 やっと襲ってきた悲しみに身を委ねて。


 3人とも慟哭(どうこく)した。